1 NPO(特定非営利活動法人)とボランティア団体

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NPO法人イー・エルダー

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広義な意味のNPOに特定非営利活動法人(NPO)もボランティア団体も含まれますので、確かに事業目的や活動内容、組織運営には同一性・類似性があります。


しかし、「NPO(以下、特定非営利活動法人の意味)の活動には常に法人としての法的、社会的責任を負う」という点で、ボランティア団体の活動とは根本的に異なります。それ故に、社会的な信用の度合いも異なります。
 
ここでは、次の3点について、その特徴的な相違を述べます。

  • NPO設立には行政の認証が必要
  • NPOは行政への活動報告義務がある
  • NPO活動については社会的責任を伴う

 <NPO設立には行政の認証が必要>

ご存知のように、NPOの事業は、国から原則非課税の扱い、そして条件を満たせば税控除適用の認定が与えられます。従いまして、NPOを創設するに当たっては行政へ設立申請書を提出して、NPOとしての認証を受けなくてはなりません。認証取得と同時に法人登記を行います。定款や理事の変更があれば、そのつど変更を申請して、認証を受ける必要があります。
 
また、NPOは法人登記した時点で、都道府県の税事務所に法人活動を開始した旨、届出る必要があります。それは、地方税(法人住民税、法人事業税)の適用に関するものであり、税法上の収益事業を行う場合は国税(法人税)関連の所轄の税務署にも届出が必要となります。
 
ボランティア団体には、こうした設立に関わる行政手続きを行う義務は一切ありません。
ボランティア団体は、組織を創ることも、中止することも、組織運営のために会則、事業活動・報告、予算・会計報告、役員・会員名簿を作るのも、変更することも全く任意であって、これらの必要の有無は自分達で自由に決めることができます。

<NPOは行政への活動報告義務がある>

行政登録をし、非課税(ごく少ないが、税控除)の事業活動を行いますので、NPOの活動には一定の制約や行政への活動報告義務があります。1年間の活動実績を報告し、収支決算報告も行います。収益事業を行なったのであれば税務申告も行います。
 
ボランティア団体には、行政への活動報告義務はありません。ただし、収益事業を行えば、税務申告は必要です。
 
上記のように、行政との関わり方からして、NPOの活動にはボランティア団体の活動とは異なり、法制上の義務と責任が強く求められていることが分かります。

<NPO活動については社会的責任を伴う>

昨今、NPOを語った悪質商法、暴力団の介入、不正資金流用、不正請求といったNPOの社会的信頼を損ねる事件が話題になっています。NPO自ら、活動や組織運営の向上、財務状況の情報開示などに努力し、信頼性を高める必要があると思われます。
 
例えば、NPOは業務委託を受けた場合、約束した(契約した)とおりの納期と品質基準を守ることは非常に大切なことです。しかも、単に、品質基準を守るだけでなく、アイデアを絞りサービスの付加価値を高め、日々の業務改善、顧客満足度調査などの努力を続け、契約先、寄付先などのお客様の満足度を高めることが一層大切です。
業務を受注しておいて、「一生懸命やりました」「頑張りましたが、ここまでしかできませんでした」では、社会的に責任をもつ法人とはなりえません。
 
勿論、業務に伴う金銭の授受も約束どおりに遂行しなくてはなりません。正しく記録(経理処理)しておくことも求められます。
また、寄付金や補助金の収入を得た場合には、アカウンタビリティ(関係者や社会が寄せる期待や負託に正しく応えること)やトレーサビリティ(追跡可能性、申し開きができるようにすること)の観点から、関係する企業・行政・団体・個人にその使途、結果、成果などの報告を、NPOの特性でもある「自発性」を発揮して、行うことが望まれます。
 
一方、行政の介入を好まずに自分たちの自由な意思で、社会的な期待に応え、地域の社会問題を解決し、立派な活動をされているボランティア団体もたくさんあります。それはそれで、メリットが多々あります。しかし、言い換えれば、会員の意思や都合によって活動を中止したり活動内容を変更することが可能となりますので、善意の行為としての評価はともかく、企業や行政からの事業活動に対する信頼性はそう高くはありません。また、企業や行政は今やNPOをパートナーとして協業していこうと努力していますので、企業や行政からの業務委託、寄付金、補助金の可能性は少ないことはご承知の通りです。
 
以上の通り、NPO(特定非営利活動法人)とボランティア団体は、類似する特性とそれぞれに固有の特性とメリットがあり、社会に無くてはならない存在となって来ております。
将来、「第三のセクターとしての行政・企業・社会への提言」、社会的事業を通して「GDPへの貢献」、「雇用の創出」を視野におかれて活動を行う方々には、NPOの選択の方がよりふさわしいと言えます。(Rev.11/21)

 

 


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