2 NPOと企業

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NPO法人イー・エルダー

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NPOと企業の違いは「NPOは社会的使命の追求、事業理念の具現化のために活動し、企業は組織の持続のために利益を追求して活動する」と一般に言われています。

NPOはその性格をしばしば「非営利」と言われておりますが、事業拡大・利益の追求をせずに、社会的使命の実現や事業理念の具現化は不可能です。
また、NPOが第三のセクターとして本来期待されているのは、「行政・企業と対等」、「GDPへの貢献」、「雇用の創出」ではないでしょうか。

従いまして、NPOはNonprofit Organizationではなく、Not for Profit Organization と解釈した方が良いと思います。そして、NPOの性格を「利益の非配分」とすべきです。即ち、利益を役員や会員に配当のように配分してはいけないということになります。業務執行を行なった理事、事務局員、会員にはその成果に応じて、報酬を支払えるようNPOは最善の努力をする必要があります。ここが任意団体と大きく異なる点でもあります。

ご存知とは思いますが、企業でも一般社会へ訴求力のある企業理念を掲げて経営されていますが、多くは株主、社員、社会へのメッセージであり、企業イメージ高揚の手段や、社員への動機付け、つまり、社員が仕事に努力を傾注するよう呼びかける手段として用いられています。

企業は存続のために利益追求が第一義ですから、そのためには時として、社会の環境の変化に順応して、企業理念を変更します。
実際、一般企業が設立時と全く異なった業種・業態に変わって存続している例は多々あります。

<事業推進手法にNPOと企業の違いはありません>

法人として社会的事業責任を負って事業を行い、事業を推進することで成長し続けていくという点では、NPOと企業の違いはありません。
例えば、福祉・介護やコミュニティビジネスの事業を企業でもNPOでも行なっている例は多々あります。

また、同類の事業を行う以上、同業者間競争は必ず生じますから、組織運営や事業展開に相当の目標と方針やその具現のための戦略と戦術策定(リーダーシップ・マネジメント・ビジネス推進能力)が求められることでも、NPOと企業に違いはありません。

事業推進をどのように行えばいいかという点では、NPO活動も企業活動も同じで、違いは無いと言っても過言ではありません。

しかしながら、一般に、NPOには、リーダーの熱い情熱はあっても、組織としての目標と方針、そして、その具現化のための戦略や戦術がありません。〔一生懸命にやっている〕だけではNPO事業の継続はできないのではないでしょうか。
〔事業型NPO〕から「NPOの活動をしているのではなく、NPO事業を経営している」「ベンチャー企業、ソーシャル・ビジネス経営と同じように事業や利益の拡大を行なっている」という声も耳にするようになりました。

<組織運営という点では異なることが多々あります>

しかし、NPOと企業では組織運営上の組織管理、人事管理、マネジメントの権限、業務遂行のあり方等に異なる点が多々あります。

組織の成り立ちを見てみましょう。
企業は出資者(株主)から資金を集めて設立されますので、組織(企業)運営には株主の意向が強く反映されます。企業の経営者は株主によって選任されます。株主ではない従業員の意向は組織(企業)運営には直接反映されません。また、借入金が多額の場合は、金主(銀行等)の意向が経営を左右することもあります。

一方、NPOでは組織運営責任者である理事は会員によって総会で選出されます。組織の成員である会員には等しく総会での議決権が与えられていますから、会員の賛意が組織運営をつかさどる理事会の方針に反映されます。 

また、企業の取締役とNPOの理事という組織運営責任者の選出方法及び身分保証も全く異なります。
企業と従業員の間には雇用契約が存在し、従業員は一定の制約はあるものの身分保証がされています。入社にあたっては、通常、選考が行われ、入社できないことがしばしばです。NPOと一般会員との間には雇用契約はなく、特段の理由がないかぎり入会を拒否されることはありません。

NPOが有給職員(理事、事務局員、会員など)との間に雇用契約や業務委託・受託契約等を締結している場合を除けば、 NPOと企業では組織運営・活動に大きな差異があり、自ずとNPOにはNPOとしての運営手法が求められます。

その具体手法も異なります。例えば企業では、上司が人事や業務の権限を持っていますから業務指示・命令によって部下は仕事を遂行しますが、NPOでは企業に見られる上司・部下の関係は無く、協力関係にあるのが一般的です。NPOの業務は指示・命令ではなく、ある会員から他の会員への依頼によって遂行されるのが一般的です。

事業運営にあたり、指示命令という強制力をもった手法ではなく、活動依頼という任意に基づく手法でNPOの組織としての、「事業責任」、「社会的使命」などを果たそうとするのですから、企業とは異なった困難を伴います。
通常から、会員同士が互いに尊敬し合い、協力しあって、自主的な意思による活動を遂行するという組織風土・文化の醸成が大切です。
活動をリードしマネージする人の「人格」も問われることがあります。

ある事業の遂行にあたり、定められた期日までに一定以上の品質基準の成果をあげなくてはならない場合、NPOと業務執行会員間に業務受託契約や請負契約などを締結し、業務履行について個人責任を明確にしておくほうが良いでしょう。
会員相互の善意に基づく協力で全ての事業を遂行するという方式では、往々にして責任の所在が曖昧になり、また各々の会員の事業に対する意気込みや責任感も異なることから、マネジメントに苦労することになりがちです。

 


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