4 初めに組織の目的と理念ありき

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NPO法人イー・エルダー

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理念は、NPOの〔新しい創造、価値を生み出す第三のサービス〕を育む源流

今回は、「事業目的と理念」について、さらに深く掘り下げて考えてみたいと思います。

地域からの評価が高くなり、成員が増え、事業活動が活発になるに従い、マネジメントや活動のあり方、個々の成員が自分の活動や目標をどのような方法で、どのような気持ちを込めて行えば良いかをめぐって、意見の相違が出てきます。世間からの中傷などにも遭遇します。これらは、これが正解というものはないため、大変重要な解決すべき問題ではありますが、正に「理念」に直接関わる課題と言えます。

「理念」については、リーダーの信念・思い・情熱とご説明しました。リーダーが情熱を傾けてこれを語れても、簡潔に明文化されたものが少ないのが実情ではないでしょうか。リーダーの思いとは離れて、抽象的・スローガン的・教条的・象徴的・教科書的・模倣的になりがちです。

リーダーの熱い「社会的使命感」が社会に受け入れられ、NPOが社会に無くてはならない存在として高い評価が得られる必要条件は、組織や成員が守るべき「サービスの対象・内容・質、事業・活動に取組む姿勢、高潔な倫理・法令順守、社会や他組織との関係、職場環境(心理的な環境を含む)、禁止事項など」についての信条が明示されていることではないでしょうか。

素朴で、個性的(日常的な自分たちの組織の言葉)で、求心力があり、普遍的で、分かり易いほど良いと思います。このような理念を持てば、組織内外のあらゆる課題への基本となります。

成員一人ひとりが自分たちの組織の理念に深く共感できれば、その活動は自ずと経済合理性だけの活動ではなく、ボランティア活動(無報酬)でもない、心の内面から湧きあがる内発的なエネルギーの伴った社会的・公益的な活動となって発露されるようになります。

相手の喜びと自分の喜びが同化された心のこもった自発的なサービスに昇華します。大げさな表現ではありません。皆様も実感しておられること思います。この心のこもったサービスこそが、NPOの【新しい創造、価値を生み出す第三のサービス】の源流です。

この【萌芽的第三のサービス】は、行政や企業と比肩できる存在となる基盤となって、やがて、企業や行政に差別化できる、付加価値の高い政策提言や社会的事業・サービスに結実し、NPOの自立化、財政的な基盤確保、雇用創出への寄与などに欠かせないものとなるに違いありません。

さて、前回、事業計画には戦略性(5W1H)が必要であると申しました。組織が大きくなると、事業計画は多数の成員により一定期間中の目標達成を目指して活動します。

この場合、自分の目標達成は組織全体の目標達成に欠かせないものであること、そして自分の成果は、更にその先にある他の成員の目標達成のためにあること〔次工程はお客様〕を忘れると、組織活動に齟齬が生じてきます。

また、自分の目標達成にだけ執着して周囲との調和〔チームワーク〕を失っても、組織活動に悪影響が生じます。だからといって、成員の個性や自発性を損なってしまっては、組織の活性化も自立化も実現しません。

実際に事業や活動を担う成員への事業目的と理念の徹底や啓発、事業計画の目標達成への動機づけは、日常の事業型NPOのマネジメントの重要な役割です。章を改めてご紹介します。

また、明確な事業目的と理念は、組織風土・文化の醸成となって成員に対する求心力・訴求力が強まり、自己増殖的に活動に必要な人材確保、活動の活性化に有効です。

 


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