【マネジメント】とは、与えられ条件のもとで組織の目標達成に向けて、人・物・金・情報・時間などの使用法を最善にし、企業を維持・発展させていくこと、また、その経営管理を行う管理者のこと、と言われています。
もともと企業の事業発展のために開発された手法ですが、ＮＰＯにおいても【マネジメント】は必須です。企業とは、多少異なる点があります。共通していることは、知識や経験レベルで簡単に身につくスキルではなく、不断の努力を重ねて、追求して行く永遠のテーマであることです。
それは、内外の環境により、与えられた条件が変化し、目標そのものを修正せざるを得ないことが日常茶飯事に起こり、その対応の難しさにあります。従いまして、マネジメントとは、「変化を上手に管理すること」、あるいは、「そのような管理ができる人材を育てること」と言い換えても良いと思います。
ＮＰＯに望まれる【マネジメント（人材）】としては、
- 自助努力で資金を集め、戦略性のある事業計画を企画できるマネジメント
- 排他的、高付加価値のサービスを開発できるアイディアのあるマネジメント
- 善意と自主性に充ちた成員を生き生きと効率よく統括のできるリーダーシップのあるマネジメント
- 内外の環境の変化を見極め、適時に適切な対策を取り、目標の達成を図るマネジメント
まだまだ、挙げればきりがありません。問題は、以上に挙げたようなマネジメント（人材）がいない場合、どうすれば良いのか、どう育成すれば良いのかであります。
解決に向けての王道は、課題について他の役員・理事会・問題意識のある成員と真剣な議論を続けることであると思います。この真剣な議論のプロセス（過程）が極めて重要です。その上で、中間支援団体（の適切な相談員）や、他の成功していると思われるＮＰＯに直接アドバイスを求めると、目から鱗の解決策や情報を入手できることがよくあります。
一般に、ＮＰＯは企業と異なり経営ノウハウを秘密にする必要がないため、実践的・先駆的なアドバイスが可能です。しかし、経営を変える問題意識もなく、自己のＮＰＯの特性や問題領域の整理も出来ていない段階で、単に教えを乞う、物まねをするだけでは組織の持続的成長も人材の育成も可能性がない、と言い切って良いと思います。
良きマネジメントへの育成は、良い機会を与えることと本人の不断の努力の関数で決まります。幸いなことにＮＰＯの成員は一般に、自発的な善意と内発的なエネルギーを十分持っております。自主的に手を挙げた成員に思い切って任せることも育成のひとつの方法です。
また、人材という側面からは、学生、主婦、高齢者の活用をお薦めします。特に、定年退職した知識・技術・経験・意欲のある高齢者は企業という戦場で何十年も第一線で活躍された方々です。専門知識、人的ネットワークもある知的社会的資産を十分持っております。周りを意識して探してみてください。
次に、もっとも重要な【リーダーシップのあるマネジメント】について、考えて見ましょう。
リーダーシップとは組織の成員に対し、「活動目標を明示」して、その達成のための「戦略を策定」し、「生き生きと自由闊達に効率よく仕事に取組む組織風土をつくる」ことです。
リーダーシップの発揮には、「事業目的・理念」、「組織の特性」を十分理解し、｢組織内外の環境｣を知り、それらを踏まえて｢達成すべき組織目標｣、及び｢目標達成の方策(戦略)｣を分かりやすく示す能力が求められます。
時折、周囲を巻き込んで積極的に活動する人に対して「リーダーシップを発揮している」と評しているのを耳にしますが、自ら目標を設定し、その目標達成の方策・道筋を示している(自らやって見せている)姿を評価しての言葉です。
リーダーシップは単なる積極性のことではないし、独善的に指示・命令を発することとも違います。
強制的な上意下達によるのではなく、全員がパートナーとして個性を発揮し、成員同士の相互作用によって活動の効率が上がる仕組みの工夫が必要です。
幸いにして、ＮＰＯには、善意と自主性に充ちた成員が多く、目標の設定、達成の方策、変化への対応や問題の解決などに積極的に参画を求めることにより、目標に対する理解の浸透、参加意欲の向上、コミュニケーションやチームワークの改善等、効率的な活動展開と大きな成果が期待できます。
また、成員の目標達成へのやる気を高揚・持続させるには、不断の努力によるリーダーとしての人望力・求心力を求められます。もし、成員の中から優秀なリーダーシップを持つマネジメントが育ったり、外部から入会したりした場合には、役員に登用したり、マネジメントの異動を行うことは、組織の活性化にも大きく寄与します。