6 NPOの組織運営

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NPO法人イー・エルダー

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「社会的・公益的使命と透明性ある第三のセクター」として、NPOが持続可能な事業を行うための基本的な組織運営のあり方についてご説明します。利益追求の企業とも、権益行使の行政とも異なります。

NPOが留意すべき組織運営のポイントは、事業により資金を獲得する【事業型NPO】も、補助金や寄付による【慈善型NPO】も、次の4つに要約できます。

(1)理事会(ガバナンス)、(2)効率性、(3)健全性、(4)透明性

(1)「理事会(ガバナンス)」

事業目的・理念を持ち、しっかりとした戦略性のある事業計画を策定していても、日々の事業活動においては事業目的や事業計画だけでは運営できない課題や問題が次々と発生します。また、社会的・公益的事業を遂行するが故に、法律や規制、行政の無理解などに阻まれることも少なくありません。

理事会は社会に成り代わって、団体が事業目的・理念を誠実に遂行しているかを監視する機能・責任を持っています。非常に重い責任です。

従いまして、理事会は50%以上の理事本人が出席し、少なくとも年に2回開催し、[1]事業計画(収入と支出のバランス、直接経費=プログラム活動費と間接経費のバランス)、事業資金の獲得方策、新規計画の方策などの経営(活動)方針、[2]権限集中やワンマン体制、相互牽制システム、不正などの団体や会員の監視、[3]資金の流れ、使途、管理、[4]情報開示・透明性の確保、[5]緊急な課題・問題・リスクなど、の案件を審議し、迅速・適切な意思決定をします。

また、理事会の適宜な開催が無理であれば、理事会や総会で正式に認められた「意思決定機関」や「委員会」で案件を検討し、処理することをお薦めする。

(2)「効率性」

【経営する】という感覚で組織運営することが重要です。

[1]目標と成果管理
漠然と大過なく活動を続けている団体と、達成したい成果目標・評価基準を明示してその達成に向け組織活動努力を重ね、当初の目標の達成度合や成果を評価して、改善を積み重ねてゆく団体とでは、短期間で雲泥の差となって現れてきます。

[2]組織体制
組織運営を担う各成員の役割と責任の所在は明確にしておきます。
基本的な組織(事務局、総務、経理・会計、ライン部門など)以外は、可能な限りフラットで、プロジェクト型、ネットワーク型が効率良いと思います。補完的に、電子メール、電子会議室、メーリング・リストなどの最新情報技術を活用することにより、より柔軟で効率的な組織運営が可能です。

[3]マーケティング(お客さま)指向(別途、詳細を掲載予定)

[4]マネジメント(前回掲載の「マネジメントとリーダーシップ」参照)

[5]成員の満足度
容易に判断できる問題ではありませんが、時に「啓発された独裁者」的な強力なリーダーシップとマネジメントが必要になることがありますが、NPOの特性を考えれば時間を多少掛けても、成員が企画から決定の段階まで参画して活動を進めた方が、結果として成員の理解度や満足度が上がり、効率的です。

[6]広報計画
マスコミ、ホームページの広報計画を立てる。内容によりますが、マスコミはNPOを好意的な記事として掲載してくれます。掲載のインパクトは大です。

(3)「健全性」

[1]事業の健全性
事業目的・理念との整合性、直接(プログラム活動)費と間接(管理)費の割合、資金調達の実現可能性、成員の質と量的維持、次期新規事業の計画性など

[2]財務の健全性
財務基準の作成と遵守(給与・報酬の基準、プログラム活動費と管理費の割合、事業引当金など)、資金繰り、事業ごとの収支計画、資金調達先の集中と分散度合、寄付金の使途、会計の規則遵守、法令に準拠した公正な補助金申請と使徒。

[3]リスクマネジメントなど。

(4)透明性

この【透明性】も、組織運営のスタンスがNPOは企業や行政と大きく異なります。
主務官庁への事業報告書提出だけでは十分ではありません。NPOは社会からの信頼が大切です。企業・行政・団体との機密契約条項以外は、事業(活動)全般について、成員と外部に対し積極的に分かり易く情報を開示します。NPOの競争は事業の拡大発展を目指すという点では企業と同じであっても、マーケットシェアの拡大や競合相手を倒すためではなく、競争によってより高付加価値のサービスや製品を提供することが期待できます。また、積極的な情報開示は組織の透明性を高め、結果として社会からの信頼を得られます。特に、補助金や寄付金の提供者には個別事業報告書(収入と支出・使途明細・実績・成果・課題など)を報告すべきです。

 


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