7 事業化の芽を見つける

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NPO法人イー・エルダー

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今回は、組織の健全性=資金確保のひとつ、事業化についてご説明します。ひとくちに、収益をあげる事業に育て上げると言っても生易しいことではありませんが、事業化を困難にしている原因は次のようなことが考えられます。

  1. 【非営利の呪縛】
  2. 【マーケティング】
  3. 【アイデアの創出】
  4. 【事業化の評価】
  5. 【社会の環境変化】

1.【非営利の呪縛】

ご承知の通り、NPOは利益を上げてはいけない、NPOのサービスはボランティア的な高尚さが尊いのだという主張です。これが主流と言っても良いでしょう。

NPOは【非営利】、いや【利益の非配当】の論争については、いろいろな場で議論されていますので、ここでは取り上げませんが、事業を行うことや利益を挙げることを良しとしないNPO関係者には、事業化は馴染みません。従いまして、役員をはじめ大半の成員が、「NPOは経営するものだ」との意識改革をしない限り、事業化を考えることは極めて困難です。

非営利でNPOを継続される方々は、無理に事業化や利益の拡大を考えないで、慈善型NPOとして行政の補助金や無償の奉仕(ボランティア)の協力で組織運営を継続された方が無難です。

2.【マーケティング】(後日、別途詳細説明)

「素晴らしいことをやっているのに」とか、「一所懸命やっているのに」だけでは、Win Win Winの関係を構築できません。
(「マーケティング思考」と「高付加価値サービス」として、別途、詳細説明します)

3.【アイデアの創出】

安定した収益事業は、知恵を絞ってアイデアを出し、評価・実証して事業化し、マーケティング思考などによる創意工夫を絶やさなかった結果、得られるものです。事業化への努力を積み重ねたからといって必ずしも安定的な収益事業に育つというわけではなく、その可能性があるにすぎません。

事業の継続は、相当の努力の賜物と考えることが正しいと思います。

なかなか事業化の芽を見つけられない場合には、以下がヒントになります。

(1)〔事業目的・理念の具現化プロセス〕の見直し

NPOの設立にあたり地域社会の暮らしを見つめて様々な問題を見出し、それらの中から自分と仲間で解決したいことや実現したいことを思い描いたはずです。
このNPO設立の動機の周辺に事業化の芽があります。NPO設立時の事業目的・理念やNPOに参加したときの思いをどのようにして具現化させるか、具現化の過程で継続される活動を収益を伴ったものにすること即ち事業化を考えます。
人材、資金等の点からも検討を加えて事業化への道筋がしっかりイメージできれば事業化の芽が見つかったことになります。

(2)〔社会ニーズや社会問題の解決策〕

地域社会に潜在するインパクトの大きい社会ニーズや社会問題を顕在化させることも、事業化に繋がります。
社会的・公益的事業として、本来、行政が対処すべきことなのに放置されていたり、あるいは事業の成果が上がっていない場合、社会的ニーズが高いにもかかわらず企業が収益性の理由で事業化を躊躇している分野などがあります。
これらに着目し、解決への方策を策定し、その企画・立案に行政や企業の賛同・支援が得られると確信が持てれば、事業化の芽が見つかったことになります。

(3)〔自己のNPOや地域の特性〕を生かす

NPOや地域の特性を生かすことで、事業化の芽を見つけることもできます。
自己のNPOの役員や成員が得意とする特定分野や専門分野での社会的ニーズの掘り起こし、現在推進中の事業に付加価値をつけた横展開や垂直展開、同業他NPOとの協業などのNPOの特性を強みとして生かせれば、事業化できる可能性は大です。
また、NPOのある地域(コミュニテイ)の特性(行政・企業・住民の社会的ニーズ、特産物、伝統・文化、自然・環境、福祉・介護、教育など)にコミュニテイ・ビジネスとして着目することも、事業化できるチャンスは大です。

4.【事業化の評価】

事業化するにあたっては、その後の収益性などの実現可能性を視野に入れておくことが大切です。収益性の見通しの無いまま事業化し、後は成り行きに任せて幸運を祈るというのでは早晩、失敗に至ります。当然、事業戦略や具体計画がなければ事業化はできません。
戦略の策定や具体計画ができたら、それらを実行する難易度も検討します。これらを照らし合わせて、事業化の芽を取捨選択する必要があります。
取捨選択の評価項目には、例えば以下のことがあります。
収益性、ノウハウ・人材・資金の有無、情報入手の見通し、システム構築やマネジメントの難易度、競合の激しさ、自分の強みが十分発揮できるか、そして何よりも「心底、やりたいという強い願望を感じるか」。
ともかく何かを始めようという気持ちが先行すると、事業戦略や計画策定には「~であれば」「~があれば」という前提を積み重ねがちです。従いまして、事前に事業化する商品やサービスの実証実験を行い、サービスの仕組みやお客様の満足度などを検証し、改善し、確信を持って事業化に踏切ることが重要です。

5.【社会の環境変化】

どんなに素晴らしい事業に恵まれていたとしても、5年も10年も長期間継続できる保障はありません。むしろ、社会的使命は比較的短命だと認識していた方が判断を誤らないと思います。陳腐化した事業に固執していては、それこそ社会にとって決して良き存在ではなくなります。社会環境や社会的ニーズは常に変化しています。
社会の環境変化に対応して、次なる事業化の手を打っておくことが大切です。日頃から、各種の白書、行政や企業の動向、新聞などのマスコミの論調、成員やNPOのネットワークなどから情報を収集・分析し、次なる社会的環境や社会的ニーズの兆しを把握する不断の努力が必要です。

 


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