12 〔競争〕が社会発展の原動力

イー・エルダーのロゴマーク

NPO法人イー・エルダー

ここから本文です。

 


行政の失敗(限界)、企業の失敗(限界)

NPOの市場は、主として「行政の失敗(限界)」、「企業の失敗(限界)」とも言える行政と営利企業の狭間にあり、従前の仕組・考え方では解決が難しい領域を対象としています。

事実、日本におけるNPOの活動分野は、保健・医療・福祉、社会教育、まちづくり、文化・芸術・スポーツ、環境保全、災害救援、人権・平和、国際協力、子どもの健全育成、情報化、消費者保護、以上の活動を行う団体への連絡・助言・援助の17分野と規定されており、この範疇といえます。

この市場は、〔競争〕と言う市場経済の恩恵が行き届かなかった分野でした。

NPOは平成16年3月末現在、16,000団体を超えました。識者によるとこの数字は予測をはるかに超える数だそうです。

NPOの台頭と進出で、この分野にもようやく市場として認識されるようになりました。サービスも多様化し、新しいアイデアのサービスが次々と提供されて、本格的な競争も始まりました。

NPOの世界にも、厳しい競争の時代が目前に迫ってきています。

ただ漫然と旧来のサービスを継続するだけでは、淘汰される時代となって来ました。

競争は社会発展の原動力

NPOにとりましても、競争相手が出ることは良いことです。
ライバルが出現することは、その活動分野が企業や他のNPOから見て魅力ある分野と認められたうえに、自分たちの「サービス」がいかに優れているかをお客様に認めてもらえるチャンスでもあります。
競争は社会発展の原動力でもあります。
歴史が示すように、保護政策や競争条件の排除を行なったために急速に衰退した産業や企業は枚挙にいとまが有りません。

NPOは、自己組織の技術レベルや専門性を高めると同時に、それらのノウハウを他に積極的に公開し、競争参加を促し、互いに連携し、地域や社会に役立たせ、ともに第三のセクターとしての地位向上に貢献する時代になってきているのではないでしょうか。

あるNPOが公開した技術やノウハウを、他がまずはそのまま学び取って自らのものにし、次にそれらに創意工夫を加え(付加価値を創造)形を変え、やがて独自の新しい技術やノウハウを確立する「修・破・離」のプロセスがNPO間の相互機能として動き出すと、その社会貢献度は飛躍的なものになり、新しいタイプの“社会資本”を実現させる可能性が出て参ります。

しかし、読者の中には、せっかく苦心して作り上げたシステムやノウハウを公開して社会共有のものとしてしまうことに抵抗を感ずる方がおられるかもしれません。

NPOの事業が社会的な問題やニーズを解決するためのものであるという原点に立ち、「競争のないところに向上は無い」という市場経済の法則を受け入れて競争に積極参加し、あるいは自己の開発したシステムやノウハウを独占するのではなく積極的に公開して他のNPOの競争参加を促し、互いに切磋琢磨する環境を作り出すことは、NPOにとっても社会にとっても重要なことと思います。

行政や企業と対等の存在になれるか、重要な時期

NPOが第三のセクターとしての独立性を確保し、行政や企業と対等の存在に成長する重要なターニングポイントに来ているにもかかわらず、新卒学生がNPOに就職したというニュースを聞いたことがありません。
このまま、NPOの数だけがいくら10倍、100倍と膨張しても、社会の主役のひとつとして、GDPの一翼も、雇用の受け皿にもならないということになります。

真に自立し、社会にとってなくてはならない存在となるために、厳しい競争に負けない経営姿勢が求められます。
王道はなく、苦しくても、地道な内なる努力の積み重ねです。

経営姿勢の基本的な要件

経営姿勢として、次の4か条は「基本的な要件」と考えます。

◆他と異なるサービスの提供をする。
善意と自主性に満ちた成員の特性を結実して、お客様の心が満たされるような他とは一味異なるサービスを提供し続けることで、組織の財政基盤の確保。

◆サービスは有料とする。
お金をいただくことにより、成員一人ひとりがお客様に心のこもったサービスを提供する組織風土の確立。

◆成員に役務と成果に応じた報酬を支払う。
複雑度・困難度とその成果に応じた報酬を支払うことで、組織の活性化。

◆社会環境に迅速に対応する。
環境は常に変化し、社会的使命の期間は短い。組織を進化させるか、進化できなければ自ら退場する覚悟が必要です。

余談になりますが、ただ単にほかの企業やNPOのマネをするだけでは失敗します。
マネをするにも、創意と工夫が必要です。組織や地域の特性を付加した価値の創造が必要です。

 


ページはここまでです。

<<このブラウザでは、左側ナビゲーションメニューを印刷致しません。>>