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NPO法人イー・エルダー

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2003年11月1日

1. 人的リスクと損害

どのNPOにおかれても、代表者(創業者)や発起人、特に代表者の事業目的と理念の実現にかける情熱、リーダーシップ、個性といったものが余人を持って変え難い存在であることが一般的です。
代表者が病気や怪我で就業できなくなった場合には、事業の継続に赤信号がついてしまうことも考えられます。日頃から、代表者は健康管理に人一倍留意すると同時に、自らリスクマネジメントの重要性を意識して、構成員への継続的な動機づけを行なっていただきたいと思います。
 
社会環境もリスクの内容も全く異なりますが、戦国時代の武将、徳川家康、毛利元就、真田昌幸は歴史小説を読む限り傑出したリスクマネジメントの経営者と言えそうです。
 
理事、職員、その他サービスを行うスタッフ(ボランティアを含む)がNPO活動中に怪我をする、事故にあう、病気になるなどの危険性が潜んではいないでしょうか。就業中の怪我の治療のための費用も損害ですし、組織にとっては活動停止による収入減という損害も発生します。(Rev.1130)

2. 物的リスクと損害

事故や自然災害による所有物件(例えば、事務機器、車輌、生産設備等)などの物的損害があります。
物的リスクは経済的な損害に繋がります。リスクを分析して、必要に応じて、リースに切替る、保守契約をしておく、代替品の用意など代替方法を準備しておく、XX損害保険をかけるなどの対応策を講ずると良いでしょう。
 
パソコンやテレビなど産業廃棄物の処理が厳しくなりました。改正リサイクル法、改
正家電リサイクル法、改正産業廃棄物処理法に則って、信頼できる処理業者を選び、正しい処理を行いませんと思わぬ罰則を受けかねません。たとえ、後処理の業者が違反しても排出事業者(NPOも対象)も罰則を受けるという怖い法律です。既に青森県と秋田県の県境で起きた不法投棄に対する罰則の事例が出ました。
 
提供したソフトウェアを含む場合も考えられます。事前に、契約書、確認書、誓約書、覚書などで、きちんと当事者の賠償責任を決めておくと良いでしょう。(Rev.1130)

3. 組織運営のリスクと損害

人的リスク、物的リスクもそれ自体の単独の損害に止まらず、組織運営や財政上、信用上の損害に波及します。
 
特定の事業の遂行、受託、新規事業の開発、予算管理、財務管理、寄付先・顧客の満足度等について、特定の個人に権限を委ねていないでしょうか。善意の組織とはいえ、意思決定機関(定期的な会議体、相互牽制)で、事業理念に合致しているか、法に違反していないか、過大なリスクの可能性は無いか、顧客にとって最善のサービスか、安全・適切か、落とし穴はないかを常に検討し、決定事項を議事録にまとめ、情報開示することが、リスク回避のための第一歩、極めて重要なことであると思います。
 
大きな金額の業務の受託・委託を行う場合には、契約書や覚書の内容について、その目的、業務仕様、期間、価格、支払い時期・条件、損害賠償、解約条件等を一方が不利にならないように十分検討し、締結しておくことが肝要です。
 
先に述べました通り、代表者や役員一人ひとりのリスクマネジメントに寄せる意識が重要ですが、幸い、NPOの組織および構成員は、柔軟かつ素早く新しいリスクの存在に気づくと思われます。リスクの存在に気づいたら、直ちに提言し、リスク回避策を講じることができる組織運営と自由闊達な組織風土・文化の構築が必要です。
 
また、昨今、情報システムの利活用がNPOの組織運営に欠かせなくなって来ました。お預かりしたり、自己の機密データへのアクセスや保護、保管管理、また、ウイルス感染の防止対策も十分でしょうか。
システムの故障やシステムからアウトプットされる各種報告書類の誤り、顧客情報の漏洩などは、NPOの事業活動の停止や信用失墜に繋がります。大きなリスクのひとつです。(Rev.1130)

 


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