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NPO法人イー・エルダー

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2003年11月15日


前回(1.人的リスク、2.物的リスク、3.組織運営のリスク)に引き続きNPO活動で発生する可能性のある以下のリスクと損害について未然に防ぐことや発生した場合の対処策について学習したいと思います。

4. 財政上のリスクと損害

人的損害、物的損害、組織運営上の損害はリスク(事故)発生直後に生じる直接損害ですが、原状回復、損害の補填、その間に逸失した利益を考えると、ほとんどのリスクが結局は財政的な損害となることがお分かりいただけると思います。

各種リスクへの対処策としては、損害保険や生命保険を契約しておくことが最も一般的な方策です。
保険金の支払いは、保険事故であっても、事故の内容によっては保険金の支払い対象にならないこともあります。
また、保険契約にあたり特約などの一定の条件を付帯した場合は、その条件により保険金の支払いが決定されます。
例えば、保険金支払い対象となる事故を縮小したり、一定額以上の損害が発生した場合にのみ保険金が支払われるという免責金額を設定していると、免責金額範囲内の損害に対して保険金の支払いは行われません。

保険契約にあたって大事な留意点は、事業の規模やリスクを分析・評価して、最適な保険であるかどうか、自己負担する範囲と保険でカバーする範囲を判断して、保険を上手に利用することが大切です。
そして、保険契約書の約款や特約条項(実は、判りづらいのですが)を良く理解しておくことも大切です。

5. 信用上(営業上)のリスクと損害

ご承知の通り、信用は長期間にわたって誠実に活動を繰り返すことで培われます。一朝一夕に生まれるものではありません。しかし、信用を失うのは一瞬の出来事によります。
「3.組織運営のリスク」で述べました通り、これを誤りますと、NPOイメージの低下や損失の発生だけでなく、事業の継続に致命的なダメージを受けることがあります。

事故が発生したとしても、リスクへの対処が素早く適切であれば、そのことが評価されて信用回復が早まる、あるいは信用を失わずに済むこともありますから、様々な事故発生を想定してその対応策である事故対策マニュアルを予め用意しておくとよいでしょう。

信用上のリスクでもっとも重要なことは、事故直後から事実を冷静に把握した上で、当事者ならびに責任者が誠意をもって相手方に接することではないでしょうか。

適切な対応策と再発防止策を提示し、相手方に納得をいただく。そして、内部関係者にその再防止策を徹底することが必要なことと思います。

また、直接的なリスクではありませんが、取り扱う商品やサービスにつての外部からの質問に対する回答(機能・性能、他と差別化できる特徴、価格など)や回答する担当者を決めておくことも大切です。回答が間違っていたり、人によって回答内容が異っていたり、回答が遅くれたりすることで、NPOの信頼性を落としてしまうことがしばしばあります。
案外こんなことから、企業や行政のNPOの業務遂行に対する評価が、「頼りない」、「信用できない」、「きちんとした提案がない」と言われているのかもしれません。

6. 情報管理上のリスクと損害

顧客からお預かりした機密情報や事業活動に伴って蓄積された情報は貴重な資産とも言うべきもので、十分な管理が必要です。金銭管理にはそれなりの注意を払っているのに、情報管理には案外無関心でいる例をよく見かけます。
電子機器類を活用して情報をやり取りする手段が多様化した今日にあっては、全く予期しなかった方法で情報が盗まれたり漏洩します。
毎日のように、機密情報が漏洩してしまったために、企業イメージが失墜したり、自己の独自性や優位性が損なわれたり、事業活動の停止に追い込まれるような報道が後を絶ちません。

情報は、それを必要としない者にとっては何の意味ももちませんが、欲しい者にとって、大きな代償を支払ってでも入手したいと思うものです。

従いまして、顧客からの機密情報、外部に漏洩しては不都合な蓄積した情報、プライバシー保護の必要な個人情報など漏洩、紛失した場合、事業活動に重大な影響をもたらす情報を定義して、その管理方法を決め、実施します。

例えば、その情報の表示方法(「XXX機密」、「取扱い注意」、「複写不可」など)、その情報の管理責任者、扱える担当者の範囲、閲覧・コピーする場合のルール・承認者・その記録、施錠できる保管場所への保管管理などを決めておくことです。

また、その情報がパソコンなどの情報システムやアクセス可能な媒体にファイルされている場合も、同様な管理体制とバックアップ体制が求められます。

情報管理上のリスクと損害は保険で担保されないことが殆どなのに、損害額が高額になる場合が少なくありません。
情報管理には真剣さが求められます。(Rev.1130)

 


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