9 NPOは、多様な〔自己実現〕の舞台

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NPO法人イー・エルダー

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事業型NPOの経営には、社会的起業家精神が強く求められます。しかし、それとは明らかに異なる素晴らしいエネルギーをしばしば体験します。事業目的・理念に賛同して活動を共にする理事(経営者)や成員は、人生経験、価値観、関心事、満足度、夢など十人十色の個性を持ち合わせています。

リーダーの社会起業家精神がその多様な個性を結束させ、困難に遭遇した時に、個々の成員から〔自己実現〕に向けての内発的・自発的なエネルギーの発露を可能とします。不思議なくらいに〔粘り強く、力強いエネルギー〕です。

◇新規事業を立ち上げる社会的起業家精神

確かに、事業化の芽を育て、戦略性のある事業計画をたて、リーダーシップを持つマネジメントのもとで運営し、成員全員がマーケティング指向で、心のこもったサービスを提供し続けても、収益が得られるようになるまでには相当の努力の積み重ねと少しばかりの幸運が必要です。事業を立ち上げた当初はやるべき多くのことがあり、あれもこれもやらなくてはと懸命に努力することに終始します。やがてその懸命の努力が実って、日常活動に一定のリズムが生まれてシステムとして機能し始め、一定の成果が実感できるようになります。

このプロセスは、「急な坂道を荷車を押して登るようなもの」で、坂の上の平らなところに荷車を押し上げてしまうまでは、絶対に力を抜くことができないように、新規事業を開始したら、運営が軌道に乗り一定の成果が実感できるまではリーダーのもとで成員全員が歯を食いしばってでも頑張り続けなくてはなりません。疲れたからといって坂の途中で力を抜けば、荷車はすぐに元の坂の下まで転げ落ちてしまうように、NPOの事業も育てる途中でひとりでも力を抜くと初めからやり直しとなります。

◇困難や失敗から立ち直り、果敢な再挑戦

また、どの世界でも同じでしょうが、思わぬ事故に遭遇したり、人的地雷や魔物や罠が随所に仕組まれたり、潜んでいます。特に大きな問題や困難に直面すると、解決の方策を考える前に挑戦する気力を喪失するようなことさえ起こります。挫折に遭遇しても、打ちのめされても、「この世に失敗なんて無い、ただ学習する機会があっただけ」と再び立ち上がって挑戦を始めれば、失敗(と思ったもの)は失敗ではなくなります。

失敗そのものは不名誉ではありません。失敗から謙虚に学ぶ姿勢を失い、再挑戦を止めることが不名誉であり、悔いを残すのではないでしょうか。

◇社会的使命への〔自己実現〕の意欲

実際、NPOの経営では大きな困難に遭遇するたびに、内発的・自発的エネルギーのマグマが沸々と発露し始め、再挑戦しているから不思議です。このエネルギーの素は、社会的使命への強い動機でしょうか。この事業は社会や地域から求められている、自分たちがやらないで誰がやる、自分たちのサービスを心待ちにしている沢山の方々がおられる、仲間の信頼・励まし・協力・喜びがある、など様々です。事業型NPOには、経済的な欲求でも、地位に対する欲求でも、名誉に対する欲求でもないもっともっと粘り強く力強い〔自己実現の欲求〕が心の底から湧き出てくるから不思議です。

他人からみると身体的にも精神的にも相当きついはずだと思われているかもしれません。しかし、本人にとっては、困難なプロセスをあたかも楽しんでいるかの如く前進し始めます。このリーダーの心の変化を成員は敏感に感知し、各々が各々の〔自己実現〕に向けて再びパワーを発揮し、何倍かの相乗効果が表れ、気がつくといつの間にか困難を乗り切っていて、長い間、弱さだと思っていたことがむしろ、強さに変わってしまっていることすらあります。

リーダーが、成功を信じて止まない強い情熱と肯定的な精神を持ち続けることにより、成員一人ひとりの多様な自己実現の場を提供できるのだと確信します。

 


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